症例
クームス試験陰性の溶血性貧血と尿細管性アシドーシスを契機に診断に至った学童期Wilson病の1例
山川 佳丈
1
,
板橋 寿和
1
,
小林 光一
1
,
福永 遼平
1
,
田辺 雄次郎
1
,
海津 聖彦
1
,
田嶋 華子
1
,
植田 高弘
1
1日本医科大学小児科学教室
pp.369-374
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003836
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Wilson病は常染色体潜性遺伝形式をとる先天性銅代謝異常症である.本疾患は13番染色体長腕(13q14.3)に位置するATP7B遺伝子の病的変異によりATP7B蛋白の機能障害をきたし,肝細胞における銅の胆汁中への排泄が障害される.その結果,肝臓をはじめとする種々の臓器に銅が蓄積し,臓器障害を引き起こす1).5歳から35歳の間に発症することが多く,発症年齢の平均値は12.0歳,標準偏差は5.5年と報告されている2).本疾患の有病率は全世界で30,000人に1人であり,また病的変異のアレル頻度は90人に1人と推定され,欧米諸国よりも中国やアジア諸国で高い1).本疾患は肝障害による非特異的症状を高頻度で認めるが,まれに溶血性貧血で発症することがあり,溶血を伴う急性肝障害の症例ではWilson病を鑑別に挙げる必要がある.今回われわれは溶血性貧血で発症し,Wilson病と診断した症例を経験したため,文献的考察を交えて報告する.

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