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特集 遺伝性尿細管疾患の最新知識
尿細管性アシドーシス
-――二次性を含む
Renal tubular acidosis
白井 陽子
1
,
三浦 健一郎
1
,
服部 元史
1
Yoko SHIRAI
1
,
Kenichiro MIURA
1
,
Motoshi HATTORI
1
1東京女子医科大学腎臓小児科
キーワード:
尿細管性アシドーシス(RTA)
,
シェーグレン症候群
,
全身性エリテマトーデス
,
ファンコニ症候群
Keyword:
尿細管性アシドーシス(RTA)
,
シェーグレン症候群
,
全身性エリテマトーデス
,
ファンコニ症候群
pp.418-422
発行日 2024年5月11日
Published Date 2024/5/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289060418
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尿細管性アシドーシス(RTA)は,腎尿細管機能異常によって尿細管でのHCO3−再吸収またはH+分泌が障害され,アニオンギャップ(AG)正常の代謝性アシドーシスをきたす疾患である.このうち集合管におけるH+排泄障害によるRTAは遠位尿細管性アシドーシス(dRTA)に分類され,ATP6V1B1遺伝子,ATP6V0A4遺伝子,SLC4A1遺伝子,FOXI1遺伝子,WDR72遺伝子の異常による遺伝性dRTAのほか,二次性dRTAの原因としてシェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患や腎間質の障害があげられる.遺伝性dRTAにおいて,小児期早期に適切なアルカリ療法を開始することは,成長障害の改善を目的とするのみでなく,腎機能障害の予防としても重要である.近位尿細管でのHCO3−再吸収能低下によるRTAは近位尿細管性アシドーシス(pRTA)に分類され,SLC4A4遺伝子異常による遺伝性pRTAがあるが,二次性のものとしてファンコニ症候群が原因となる.ファンコニ症候群は後天性のものでは薬剤性の頻度が高く,薬剤性が考えられる場合には,まず原因と考えられる薬剤を中止・変更する.
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