症例
不明熱の原因が膵周囲の後腹膜に発生した炎症性偽腫瘍であった8歳児例
梅原 舞
1
,
西村 直子
1
,
後藤 研誠
1
,
竹本 康二
1
,
尾崎 隆男
1
1江南厚生病院こども医療センター
pp.726-731
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003519
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炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor:IPT)は,病理学的には炎症細胞の著明な浸潤と紡錘形の筋線維芽細胞の増殖を特徴とする腫瘍性病変とされ,感染や炎症などの反応性病変から腫瘍まで複数の病態を包括した疾患概念である1).近年,IPTの一部は炎症性線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor:IMT)としてとらえられている.全身の臓器に発生し得るが,症状および検体検査は非特異的であり診断までに時間を要することも少なくない.小児ではきわめてまれな疾患であり,確定診断には腫瘍の生検あるいは摘出による病理組織検査が必要である2).今回われわれは,不明熱の原因が膵周囲の後腹膜に発生したIPTであった小児例を経験した.侵襲性を考慮して観血的処置を回避することとなったが,ステロイドの投与が奏効して寛解を維持できており臨床経過を報告する.

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