特集 大災害と子どもたち――Excluded and Invisible Ⅰ
過去の大災害と子どもたち
3.〈2011年〉東日本大震災
細矢 光亮
1
1福島県立医科大学周産期・小児地域医療支援講座
pp.560-564
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003477
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東日本大震災は,巨大地震・巨大津波・原子力災害の複合大災害であった.地震そのものによる被害も大きかったが,それにも増して津波による物的・人的被害は甚大であり,地震・津波を経験した者には老若を問わず強い心的外傷を残した.東京電力福島第一原子力発電所事故においては,放射線被ばくに直接起因する市民の健康被害は現在のところ確認されていないが,避難などによる生活環境の変化は子どもの肥満を増加させ,それに伴い脂質代謝異常,糖代謝異常などの健康被害を引き起こした.大災害は子どもたちに心的外傷を負わせ,生活環境の変化は子どもたちに健康被害をもたらす可能性があることを,小児科医は知っておく必要がある.

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