特集 大災害と子どもたち――Excluded and Invisible Ⅰ
過去の大災害と子どもたち
4.〈2016年〉熊本地震
松本 志郎
1
,
中村 公俊
2
1熊本大学病院新生児学寄附講座
2熊本大学大学院生命科学研究部小児科学講座
pp.565-569
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003478
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熊本地震では,観測史上初となる震度7を2回経験し,県内でNICUと小児救急を担っていた2つの拠点施設の機能が停止した.心疾患など県内で受け入れが困難な症例は,DMATを中心にドクターヘリ搬送が行われた.小児休日夜間救急外来は,自衛隊の支援でテント診療として維持された.在宅の重症心身障がい児は,日頃から台風を想定した避難訓練が実施されていたことが役立った.熊本地震の教訓は,日常の医師同士の連携,小児科学会,DMET,自治体や自衛隊とのシームレスな連携体制の構築の重要性が認識されたことであり,小児周産期リエゾンの体制整備が全国的に進められたきっかけとなった.重要なことは医療者自身が,その家族も含めて被災者となることを念頭に,災害時に医療者としての活動が継続できるよう災害に備えることであろう.

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