トピックス
乳児の発達心理学的考察
-――個性と発達
土屋 廣幸
1
1福田病院小児科
pp.300-306
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003393
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正期産新生児を観察していると,初回入浴時に泣く児と泣かない児がいる.前者は翌日も泣くが持続は短くなり,後者は翌日も泣かない.気質(生来の人格特性)の要素分類では啼泣は拒否反応に,啼泣時間の短縮は適応性に該当する(気質と類似の語に性格,人格,個性があるが区別は厳密ではない).気質の違いも他の形質と同様に遺伝と環境で決定される.気質の遺伝性は,①特定の遺伝子に注目する候補遺伝子解析と,②ゲノム全体を対象とする関連遺伝子解析の2方向から研究されている.一方,乳児の知的発達の観察からは赤ちゃんってこんなに賢いんだと驚かされるが,根底にある神経伝達網や遺伝学的機序の解明にはさらに多くの研究が求められる.

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