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湿疹の早期治療介入により食物感作は抑制できるか
高橋 豊
1
,
高橋 和樹
1
,
平松 泰好
1
,
下村 真毅
1
,
谷口 宏太
1
,
大倉 有加
1
,
縄手 満
1
,
小林 一郎
1
1KKR札幌医療センター 小児・アレルギーリウマチセンター
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
食物アレルギー
,
発症予防
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
食物アレルギー
,
発症予防
pp.923-929
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002692
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食物アレルギー発症における湿疹への早期治療介入の意義を解明する目的で,湿疹を有する月齢6以下の乳児211例を対象とし,初診時と治療1年後の食物特異的IgE抗体陽性率と抗体価について検討した.初診時,卵白・牛乳・小麦のうちいずれかの特異的IgE抗体が陽性であった例は月齢2,3,4,5,6で,それぞれ6/16(37.5%),16/28(57.1%),45/56(80.3%),43/49(87.7%),58/62(93.6%)であり,月齢2,3の早い受診例は感作率が低かった.治療1年後の抗体陽性率はそれぞれ87.5%,96.4%,94.6%,91.5%,96.5%となり初診月齢による差がなくなった.抗原別の検討では卵白は治療後1年間で初診月齢による差がなくなり,乳・小麦は初診月齢が早いと1年後の陽性率が低い傾向があったが有意差はなかった.新たに陽性化した特異的IgE抗体価は卵白・乳・小麦それぞれ6.2±7.7(中央値2.7)UA/mL,2.4±3.1(中央値1.1)UA/mL,6.2±7.7(中央値0.95)UA/mLと低値であった.湿疹への早期介入によって新たな感作は阻止できなかったが感作の程度を抑制し,食物アレルギー発症を抑制できる可能性がある.
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