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孤発性動脈管瘤の新生児例
前島 敦
1
,
木村 昴一郎
1
,
奈良井 哲
1
,
橋田 祐一郎
1
,
河場 康郎
1
1鳥取県立厚生病院小児科
pp.1187-1188
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002333
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経過:在胎40週6日,体重3,065g,Apgarスコア9/9点(1/5分値),経腟分娩で出生した.生後より陥没呼吸があり,胸部単純X線で肺門部周囲に索状影を認め,新生児一過性多呼吸の診断で非侵襲的陽圧換気療法を4日間行った.生後12時間の心臓超音波検査では,高位傍胸骨短軸断面像で上行大動脈(AAo)と主肺動脈(MPA)の左側に最大内径4.2mmの瘤状に拡張した動脈管(動脈管瘤,ductal arteriosus aneurysm:DAA)を認め(triple star sign)(図-a),DAAからMPAへの短絡血流は通常とは異なり左下方向であった(図-b).また,DAAは大動脈弓(Arch)と下行大動脈(DAo)によりrabbit ear signを形成していた(図-c).以上より,孤発性DAAと診断した.入院後は呼吸状態が安定していたため無治療経過観察としたが,日齢2より動脈管の血流は徐々に減少,日齢4にDAA内壁側に層状の血栓が確認され,日齢5に動脈管の血流は消失した.日齢11で退院となり,日齢29の心臓超音波検査で管腔構造の消退を確認した(図-d).
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