特集 ウイルス感染とその合併症――「風邪は万病のもと」を考える
2.血球貪食症候群
今村 俊彦
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科小児科学
キーワード:
血球貪食症候群
,
HLH
,
EBウイルス
,
二次性
Keyword:
血球貪食症候群
,
HLH
,
EBウイルス
,
二次性
pp.1435-1440
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001965
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血球貪食症候群は,さまざまな原因によりサイトカイン産生の調節機構が破綻し,高サイトカイン血症から多臓器不全をきたす予後不良な症候群である.その原因により一次性(家族性)および二次性血球貪食症候群に大別されるが,その鑑別は必ずしも容易ではなく,一次性血球貪食症候群がウイルス感染を契機に顕在化する例もみられるため,遺伝子解析を含む慎重な鑑別が必要である.ウイルス感染を含む感染症は,二次性血球貪食症候群の原因として重要だが,原因ウイルスにより,臨床経過や適切な治療法が異なる点は重要である.とくにEpstein-Barr(EB)ウイルス感染に伴う血球貪食症候群は,しばしば重症化し,ステロイドに加えてエトポシド(VP-16)の投与を要し,難治例に対しては造血細胞移植が必要となる.
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