特集 小児のがん―最近の動向
4.ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)
森本 哲
1
1自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児科
キーワード:
BRAF V600E変異
,
mitogen-activated protein kinase経路
,
炎症性サイトカイン
,
未熟樹状細胞
,
中枢神経変性症
Keyword:
BRAF V600E変異
,
mitogen-activated protein kinase経路
,
炎症性サイトカイン
,
未熟樹状細胞
,
中枢神経変性症
pp.1037-1044
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000946
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LCHは,骨髄に由来するLCH細胞の腫瘍性増殖と炎症による組織破壊が合わさった「炎症性骨髄腫瘍」である.LCH細胞にはMAPキナーゼ経路の遺伝子にBRAF V600Eを代表とする発がん性変異がある.未熟樹状細胞の形質をもつLCH細胞は,炎症性サイトカイン/ケモカインを分泌し,病変部にはそれに反応した好酸球やリンパ球,マクロファージ,破骨細胞様巨細胞などが集簇し,それらの相乗作用により高度の炎症が惹起され,組織破壊が生じる.BRAF V600E変異は再発や中枢神経変性症の危険因子の可能性がある.中枢神経変性症はLCHと同じ遺伝子変異をもつ組織球の増殖に関連した炎症と考えられる.今後,BRAF V600E阻害薬による治療や中枢神経を標的とした治療の開発が期待される.
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