特集 小児がん診療の新展開
各論 小児がん治療の新展開
ランゲルハンス細胞組織球症
坂本 謙一
1
Kenichi Sakamoto
1
1信州大学医学部附属病院小児科
pp.1418-1421
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002754
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はじめに
単球系細胞がさまざまな臓器に集簇し臓器障害をひき起こす組織球性腫瘍のなかで,ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)は,最多の疾患である1)。LCHという疾患名が提唱されたのは1970年半ばであり,まだ50年ほどしか経過していない。また,その病態に関しても長く「炎症性疾患」なのか「腫瘍性疾患」なのかという議論が続いていたが,2010年のBRAF V600E変異が多くの症例に認められるという発見をブレイクスルーとして「腫瘍性疾患」であるという認識が確立した。現在ではLCHは,“mitogen-activated protein kinase(MAPK)経路の活性化遺伝子変異を有する骨髄由来の未熟樹状細胞とさまざまな炎症細胞が全身臓器に集簇する「炎症性骨髄性腫瘍」”として理解されている。

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