トピックス
細網細胞とランゲルハンス細胞
高橋 潔
1
1熊本大・病理学
pp.258-259
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900076
- 有料閲覧
- 文献概要
細網細胞(reticulum cell)とは細網構造(reticulum)を形成する細胞群の総称で,かつては細網内皮系統(網内系)の主要構成細胞とみなされた.この細胞はリンパ節やその他のリンパ組織,脾臓,骨髄など造血器の支柱をなし,従来好銀線維(細網線維)の網目を形成することが特性と考えられてきた.しかし,電子顕微鏡や免疫学的手法の発達によって細網細胞は単一な細胞腫ではないことが明らかにされている.すなわち,紡錘形を呈し,粗面小胞体の発達が良好で,細網線維とくっついているものがあり,この線維はIII型コラーゲン,フィブロネクチン,その他の糖蛋白から構成され,電顕的に細い膠原線維,無定形物質,およびマイクロフィブリルから成る1).
こういった線維との関連の密な細網細胞は線維芽細胞に近縁の細胞と考えられ,線維芽細胞性細網細胞(fibroblastic reticulum cell)と呼ばれる.これに対し,線維との関係が明らかでなく,原形質突起で相互に連なり,細網構造を形成する細胞があり,骨髄の細網細胞,リンパ組織におけるリンパ濾胞の胚中心内に存在する樹枝状細網細胞(dendritic reticulum cell)が胸腺依存性領域に存在する“噛み合い”細胞(interdigitating cell)がこれに属する.その他,胸腺には特殊な細網細胞が存在し,かつては上皮性細網細胞とも呼ばれた.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.