最近の外国業績より
神経
日本医科大学小児科学教室
pp.1605-1608
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000642
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背景:脊髄性筋萎縮症1型(spinal muscular atrophy type 1:SMA1)は,乳児期に発症する,進行性の運動神経疾患である.第5染色体(5q13)に存在する運動神経細胞生存(SMN1)遺伝子の変異により,SMNタンパクが欠損し筋力低下と筋萎縮をきたす.約10,000生産児に1人の割合で出生するといわれている.下位運動ニューロンの変性により筋肉の萎縮を引き起こし発症するが,発症年齢と発達の程度により1~4の型に分けられる.SMA1は最も重篤な型であり,運動発達できず死亡するか,人工呼吸管理が生後2歳までに必要になる.SMAの特異的治療として,SMN2のエクソン7のスプライシングを阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドがあり,同治療薬であるヌシネルセンは2016年に米国食品医薬品局(FDA)により承認されている.ヌシネルセンは,SMN2mRNA前駆体を標的として完全長の機能性SMNタンパクの産生を増加させる.一方本研究では,SMA1で変異しているSMN1遺伝子のアデノ随伴ウイルス9型(adeno-associated virus serotype 9:AAV9)を用いた機能的な置換療法を実施し,その治療効果および安全性の検討を行った.
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