特集 溶連菌感染症を見直す
5.溶連菌感染後急性糸球体腎炎
西野 智彦
1
,
藤永 周一郎
1
1埼玉県立小児医療センター腎臓科
キーワード:
溶連菌感染症
,
腎外症候性
,
長期予後
Keyword:
溶連菌感染症
,
腎外症候性
,
長期予後
pp.1535-1540
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000629
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溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)は扁桃腺炎や膿痂疹といったA群β溶血性連鎖球菌による先行感染を認め,典型的な症状として浮腫,肉眼的血尿,高血圧といった三主徴を呈する.本邦での年間発症は10万人あたり2~3人で,好発年齢は6~10歳である.治療は安静と,溢水に対する塩分・水分制限といった支持療法が主体となる.乏尿・浮腫期は高カリウム血症,うっ血性心不全,高血圧脳症を引き起こす可能性があるため,厳格な体液コントロールと血圧管理が求められる.乏尿は4~5日間持続するが,自然治癒傾向の強い疾患であり90%前後は腎機能に後遺症を残すことなく経過する.一般的にタンパク尿は1~2か月,低補体血症は8週間,血尿は6か月以内に改善するとされており,再発頻度は0.7~7%程度である.本稿では,PSAGN診断と予後のピットホールについて自験例を提示して概説する.
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