日常診療の疑問から始める臨床研究の第一歩

研究のことなんてまったく考えていなかった筆者がどのような経緯で，臨床研究に携わるようになったかをまとめた．臨床医だからこそできる研究は，日常の臨床から生じた疑問点（clinicalquestion：CQ）を科学的に証明する臨床研究である．CQ を実際に臨床研究にしていくためには，いくつかの準備や知識が必要であるが，本邦において臨床研究の進め方を学べる機会は非常に限られている．実際の臨床研究を呈示し，本稿が若手医師の臨床研究を行うきっかけになれば幸いである．また筆者が責任医師として現在進行している多施設ランダム化比較試験を紹介する．臨床研究は，自分の日常の疑問を解決するものであり，決して敷居の高いものではない．日本発の臨床研究を是非とも進めていただきたい．