入門講座 「はじめて」への準備(臨床研究編)・3
臨床研究のデータを収集・分析しよう
生野 公貴
1
Koki Ikuno
1
1西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
キーワード:
臨床研究
,
シングルケースデザイン
,
ランダム化比較試験
Keyword:
臨床研究
,
シングルケースデザイン
,
ランダム化比較試験
pp.791-797
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200978
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はじめに
“臨床研究”と聞くと身構えてしまう人が少なくないのではないだろうか.「臨床家であるから研究はしなくてもよい」,あるいは「研究ばかりやっていると臨床がおろそかになる」,「臨床が忙しくて研究ができない」など,研究と臨床があたかも相反するものや干渉し合うものと捉える声がよく聞かれるが,はたしてそうであろうか.
歴史的にみても,研究なくして臨床医学の発展はなく,リハビリテーション領域も然りである.「医療の現場にいる臨床家は,エビデンスの消費者であると同時に生産者でなくてはならない」とも言われる1).世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)の教育ガイドラインにも“研究”の項目があるように,理学療法士において研究の理解・実践はもはや必須項目であろう.とは言え,いくら研究法を机上で勉強しても,あるいは論文を読み漁っても臨床研究の実際や本質を理解するのは困難であり,臨床研究を理解するうえで何より重要なことは実践による経験知であると思われる.本稿では,普段の臨床での問題意識から,単一事例での仮説検証手続きを経て,やがてそれを一般化させるという一連の臨床研究プロセスを具体的に紹介したい.
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