Japanese
English
実践講座 リハビリテーションにおける研究の進め方
6.臨床研究2
Clinical Research in Rehabilitation Medicine.
田中 信行
1
Nobuyuki Tanaka
1
1鹿児島大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
臨床研究
,
評価規準
,
科学研究費
Keyword:
臨床研究
,
評価規準
,
科学研究費
pp.1169-1173
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108260
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はじめに
リハビリテーション医学における研究の進め方に,特に決められた方法や王道があるわけではない.それは第1に研究の開始は“知的好奇心”に,第2に研究の遂行は“探求心の持続”に,そして第3に研究の完成(成功)は“科学的,論理的思考”に依存している.私はこのなかでも特に,第1の“知的好奇心”を最も大切にしたい.まさに好きこそものの上手なれの諺の通り,好きなこと,面白いことは当然,持続できるし,その完成に向かって論理的思考や技術の工夫もするからである.
リハビリテーション医学で扱う障害はその構造(モデル)が従来の病理学的モデルに比べて非常に複雑で,impairmentレベルからdisability,psycho-socialレベルへと上がるにつれて,多変量解析的手法を用いるか,より下位の多数の条件(因子)設定に多くの困難を伴うことも多い.しかし,種々の因子の抽出も,臨床という生きた人間の分析では各報告者で大きく異なる.余りに初めから条件や因子にこだわると,折角の“好奇心の芽”を摘み取り,そこそこにはまとまってはいるが何の新鮮味もない研究になることが多い.特に若い研究者に研究という“新しい事実の発見”の面白さを知らせるためには,条件設定はなるべくシンプルにして,その後の自らの気付きを待つ位の気持ちが大切であろう.
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