脊髄サルコイドーシス

Spinal cord sarcoidosis

要旨：脊髄サルコイドーシスはまれな疾患で特異的なバイオマーカーを欠き，見逃されやすい。そのため，特に脊椎症性脊髄症と診断する際には鑑別を心がけたい。頚髄に好発し，MRIでは長軸方向に長大な（しばしば3椎体分の長さを超える）髄内T2高信号病変や脊髄腫脹，脊髄表面の造影効果などが特徴的で，特に造影MRIでの評価が有用である。サルコイドーシスの診断には非乾酪性肉芽腫の組織学的な確認が必要であるが，神経系での生検は侵襲度が高く，全身検索（血液検査や体幹CT，眼科・皮膚科コンサルトなど）によって「サルコイドーシスらしさ」を評価することが現実的である。特に脳脊髄液検査が本症に高感度で，また無症候性の呼吸器病変の存在頻度が高いことは押さえておきたい。