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特集 リハビリテーション医学・医療update
ブレイン・コンピュータ・インターフェース技術の現在と未来
Now and the future of brain-computer interface
牛場 潤一
1
Junichi USHIBA
1
1慶應義塾大学理工学部,生命情報学科
キーワード:
Brain-computer interface
,
Neurorehabilitation
,
Sensorimotor recovery
Keyword:
Brain-computer interface
,
Neurorehabilitation
,
Sensorimotor recovery
pp.1143-1150
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000003533
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要旨:脳とAIを連動させることで思念による機械操作を可能にする技術「ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)」の原理,科学的基盤,および臨床応用について解説した。頭皮脳波反応に応じて外骨格ロボットや神経筋電気刺激を駆動するタイプのBCIは,脳卒中後の後遺症である片麻痺上肢の機能回復に有用であることが,複数のメタアナリシスやアンブレラ・レビューによって示されている。『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕』では,BCIを応用した運動訓練が「推奨度B・エビデンスレベル高」として収載された。BCIの反復利用によって運動生成に必要な脳内回路の動員が進むことが磁気共鳴画像や電気生理学的検査を通じて明らかにされ,その背後にはオペラント学習やヘブ的学習などの神経機構が駆動していると考えられている。脊髄損傷に対してもBCI技術の応用は進んでおり,埋め込み型とウェアラブル型の両タイプで歩行機能回復を目指した臨床研究が展開されている。BCIは今後も,神経リハビリテーションの新たな地平を拓く技術として期待できる。

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