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Brain-Machine Interfaceとは?
ブレイン・マシン・インターフェース(Brain-Machine Interface:BMI)とは,脳神経系の活動と機械装置の動作を実時間的に対応づけて,1つのシステムとして機能するようにした計算機構のことである.20世紀前半に活躍したNorbert Wienerは,「生物と機械の動作機構を,通信と制御の言葉によって統一的に理解すること」を掲げてサイバネティクスという学問を興し,能動義手のような人機一体的な技術の誕生を夢想した1)が,BMIはその系譜の延長にある科学技術ということができよう.
BMIという生物共生的な機械技術は,テレパシーやサイボーグのようなサイエンスフィクション上のモチーフの実現だけでなく,さまざまな難治性神経障害に対する治療技術として役立っている.例えば,マイクやカメラなどの機械装置によって検出した外界の音や映像を,聴神経や網膜に対する電気刺激を通じて脳に送達するタイプの「入力型BMI」は,人工内耳や人工視覚としてすでに医療応用を達成している.脳内の神経活動を調整するタイプの「介在型BMI」は,脳深部刺激療法としてパーキンソン病やジストニアに広く適応されている.ユーザーが頭の中で想起したものを読み出す「出力型BMI」に関しては,剣山型の針電極を運動野に接続して,神経細胞活動の変化によってロボットアームを操作する技術が研究されているほか2),頭皮脳波や近赤外分光法を使って体性感覚運動皮質の活動を読み出し,これをユーザーにバイオフィードバック方式で提示することで,脳内回路の機能再構築を図る研究も行われている.本稿ではこの最後の事例,「BMIを活用したニューロリハビリテーション」について具体的に解説しながら,その開発を下支えする科学的,臨床的なエビデンスを紹介したい.
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