経頭蓋刺激・運動誘発電位とその精度

Accuracy of transcranial stimulation motor evoked potential for spine and spinal cord surgery as neurophysiological intraoperative monitoring

要旨：経頭蓋刺激・運動誘発電位（Tc-MEP）は皮質脊髄路に由来する運動系脊髄モニタリングに属するモダリティの一つである。日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリング委員会では，アラームポイントとして振幅70％以上低下を提唱した。本アラームポイントは，後縦靱帯骨化症（OPLL），脊髄腫瘍，脊柱変形手術で高い精度をもっている。一方，ほかの手術では，感度が低く，特に術前麻痺が存在する例はその適応に注意を要する。しかし，すべての症例において術後麻痺発生率を低下させている。Tc-MEPは，脊髄機能をすべて反映するものではない。したがって，マルチモダリティモニタリングは必須である。この電位は変動しやすいため，マルチトレイン刺激や末梢神経テタヌス刺激が解決策として挙がる。そのほか，神経根モニタリングの検出率が劣ることやanesthetic fade現象を弱点として認識すべきである。