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特集 脊椎脊髄疾患に対する分類・評価法
第4章 外傷
Atlantoaxial rotatory fixation(AARF)に対する分類・評価法
Classification of Atlantoaxial Rotatory Fixation
高橋 雅人
1
,
里見 和彦
2
Masahito TAKAHASHI
1
,
Kazuhiko SATOMI
2
1杏林大学医学部整形外科学教室
2紘友会三鷹病院
1Department of Orthopaedic Surgery, Kyorin University
キーワード:
環軸椎回旋位固定
,
atlantoaxial rotatory fixation
,
上位頸椎
,
upper cervical spine
,
Fielding分類
,
Fielding & Hawkins classification
Keyword:
環軸椎回旋位固定
,
atlantoaxial rotatory fixation
,
上位頸椎
,
upper cervical spine
,
Fielding分類
,
Fielding & Hawkins classification
pp.389-392
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201377
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はじめに
環軸椎回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation:AARF)は,環軸関節の回旋性亜脱臼で,特徴的症状として頸椎回旋制限と運動時痛,斜頸(cock-robin position neck)がみられる.小児に多く,咽頭・扁桃などの炎症や外傷が原因であることが多い.
AARFの2つの大きな要因は外傷と感染であり,最も頻度が多い要因は上気道感染でGrisel's syndromeとして知られている10).その他,後咽頭膿瘍,咽頭形成術,軽微な外傷でも生じる.咽頭と歯突起周囲静脈叢につながる静脈とリンパ管の間に血流があり,これらの組織の炎症によって関節包や横靭帯の脆弱化が起こり,AARFが起こる1).もう1つの潜在的な要因は,小児の環椎上関節突起の形態にある.頸椎の回旋運動の約50%を環軸関節が担っており,小児は成人に比し,環椎上関節突起が小さく,傾斜が急峻である.半月板様の滑膜のヒダが環軸椎間に存在し,これが整復を阻害する因子となる4).
環軸椎損傷の診断は,脊柱管が広いため麻痺の症状を呈しにくく,通常の頸椎2方向の撮影からのみでは困難なことが多いため,特に注意を要する9).診断,治療上の問題を含め,表 1に示す.
以下,上位頸椎の解剖学的特性と,分類・評価法についてはFieldingの分類を中心に,最近の分類について解説する.
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