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特集 術中脊髄機能モニタリングのUP TO DATE
経頭蓋刺激脊髄誘発電位(D-wave)の有効性
The Efficacy of Tc-SCEP(D-wave)for Spine Surgery
重松 英樹
1
,
高谷 恒範
2
,
宮林 知誉
3
Hideki SHIGEMATSU
1
,
Tsunenori TAKATANI
2
,
Tomoshige MIYABAYASHI
3
1奈良県立医科大学整形外科
2奈良県立医科大学附属病院中央手術部
3奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査部
1Department of Orthopaedic Surgery, Nara Medical University
キーワード:
経頭蓋刺激脊髄誘発電位
,
transcranial spinal cord evoked potential
,
脊椎手術
,
spine surgery
,
有用性
,
efficacy
Keyword:
経頭蓋刺激脊髄誘発電位
,
transcranial spinal cord evoked potential
,
脊椎手術
,
spine surgery
,
有用性
,
efficacy
pp.95-98
発行日 2023年4月28日
Published Date 2023/4/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202026
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D-waveとは何か?(歴史:波形の起源について)
最初に経頭蓋刺激を行い,脊髄誘発電位の波形を報告したのはBoydら1)である.経頭蓋的に脳を電気刺激し,皮質脊髄路から脊髄を下行する運動路(図 1)に関係する.これは,おおよそ50m/sで伝導する(Boydらの報告では50〜74m/sと記載あり).経頭蓋刺激脊髄誘発電位はTc-SCEPともいわれ,脳の運動野刺激により,大脳皮質下の錐体細胞の軸索が刺激され発生するD-waveと,錐体細胞にシナプス結合している介在神経が刺激されることで発生する数発のI-waveからなる6).通常I-waveは波形振幅が小さく,常に記録されるわけではないため,臨床ではD-waveを記録して運動路の評価に用いる.
記録電極は双極で,手術部位よりも尾側の硬膜外腔に設置して記録する.ただ,経頭蓋刺激の強度が強いと脳の深部が刺激され,錐体細胞以外の伝導路も刺激される.そのため,皮質脊髄路以外の錐体外路や感覚路を下行してきた成分が混在する可能性があり注意が必要である.
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