橈骨遠位端骨折に対する積極的徒手整復と背屈位ギプス固定による保存療法の治療成績

Results of the conservative treatment with the progressive manual reduction and the dorsiflexion position cast to the distal radius fractures

要旨：転位のある橈骨遠位端骨折に対し積極的に徒手整復を行い，背屈位ギプス固定による保存療法を行った結果を報告する。対象は過去7年間に背屈位ギプス固定による保存療法を施行した38例（男性8例，女性30例），平均年齢は67.6歳（13～96歳）であった。平均palmar tilt（PT）の推移は受傷時－21.1°，徒手整復時5.8°，最終観察時3.4°，平均ulnar variance（UV）の推移は受傷時3.6mm，徒手整復時1.4mm，最終観察時2.7mm，平均radial inclination（RI）の推移は受傷時16.8°，徒手整復時22.7°，最終観察時20.9°であった。近年は転位のある骨折に対し即手術を選択する傾向があるが，適応症例を選択し，的確な徒手整復と背屈位ギプス固定を行えば保存療法の治療成績は決して悪くはないと考えている。