変形性股関節症治療におけるcontroversy―borderline dysplasiaに対する治療：矯正骨切り術か？ 関節鏡下手術か？―

Controversies in the treatment of osteoarthritis of the hip；borderline dysplasia；osteotomy or arthroscopy ?

要旨：Borderline dysplasiaに対する治療として矯正骨切り術と関節鏡下手術，どちらが有効かという問題に対する現在までのエビデンスに基づいた回答は，“borderline dysplasiaに対する矯正骨切り，関節鏡下手術は，いずれも除痛，活動性改善効果があり有効” である。ただし関節鏡下手術は矯正骨切り術に比べて，再手術率，人工股関節全置換術（THA）移行率がわずかに高い可能性がある。一方で，現在までのエビデンスのほとんどが単独治療のcase seriesに基づいており，両治療法の比較が不十分な点や，保存治療に比べた優位性が報告されていない点，10年以上の中長期成績に欠けている点には留意する必要がある。