変形性股関節症治療におけるcontroversy―若年の進行期から末期変形性股関節症に対する手術：THAか？ 関節温存手術か？―

Surgery for advanced to end-stage osteoarthritis of the hip in young patients；THA? or joint preserving surgery?

要旨：若年の進行期から末期変形性股関節症に対する関節温存手術と人工股関節全置換術（THA）について，各々の術後成績と位置づけについて考察し概説した。関節温存手術を検討する際に年齢と術前病期は重要であり，術後成績に影響する。関節温存手術は進行期から末期変形性股関節症においても症状緩和と関節生存の効果が認められ，将来的なTHAを視野に入れたtime saving surgeryとして考慮できる。一方，THAは疼痛緩和を中心とした多面的な効果が得られ，患者満足度は高い。近年はインプラント長期耐用性も向上しているが，低頻度ながら術後合併症は報告され，若年であれば再置換の可能性も危惧される。どちらの手術が適しているかは，双方の利点，欠点を説明し，起こりうる合併症や長期成績なども示したうえで，患者の希望も考慮し最適な治療法を選択することが重要と思われる。