境界型寛骨臼形成不全を基盤とし，サッカーのシュート時に外閉鎖筋由来の鼠径部痛を呈した1症例―大腰筋の機能に着目した評価と運動療法―

A case of groin pain of external obturator origin during chute based on borderline acetabular dysplasia；assessment and exercise therapy focusing on the function of the psoas major muscle

要旨：今回，サッカーのシュート時のアプローチ期に軸脚側の鼠径部痛を呈した症例を経験した。本症例は，境界型寛骨臼形成不全が基盤に存在し，理学所見より大腰筋の機能低下が疑われた。よって，シュート時のアプローチ期に股関節外旋位での支持が困難となり，股関節内旋位を呈していた。その結果，外閉鎖筋の過剰な遠心性収縮を招き，疼痛が生じたと推察した。本症例では，外閉鎖筋への過負荷と，それを招いた大腰筋の機能不全を把握することが，症状の改善に必要であったと考える。