乾癬性関節炎update―骨関節専門医の立場から―

Psoriatic arthritis update；from the perspective of a rheumatologist

要旨：乾癬性関節炎（PsA）は，多彩な臨床症状を呈する。また，高い生活習慣病の合併率と脳・心血管イベントの増加をもたらす。病態の解明に伴い，TNFα，IL-17A，IL-17A/F，IL-17受容体，IL-12/23（p40），IL-23（p19），CTLA-4，JAK，PDE4を標的とする分子標的治療薬が開発された。PsAは，不均一性が高く，さらに多彩な臨床症状を限られた治療選択肢で同時に改善させる必要があるため，プレシジョン・メディシンの展開が期待されている。最近，PsAを対象に，末梢血リンパ球フェノタイプや血清サイトカイン濃度による患者層別化と戦略的な分子標的薬治療がより高い治療アウトカムにつながる可能性が示された。同治療戦略の有用性を検証するためのランダム化比較試験が開始されている。PsAにおけるプレシジョン・メディシンを実現可能なものとするためには，さらなるデータの集積が必要である。