Japanese
English
特集 統合失調症の治療ゴールをめぐって
ゲノム医療の視点から
Perspective on the Future Goal of Therapy for Schizophrenia from the Genomic Point of View
木村 大樹
1
,
尾崎 紀夫
1
Hiroki Kimura
1
,
Norio Ozaki
1
1名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野
1Department of Psychiatry, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
キーワード:
Next generation sequencing
,
Clinical sequencing
,
Disease model
,
Precision medicine
Keyword:
Next generation sequencing
,
Clinical sequencing
,
Disease model
,
Precision medicine
pp.447-455
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205818
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抄録 近年のゲノム解析技術と情報解析技術の進歩,さらに国内外でコンソーシアム形成による研究の大規模化の結果,統合失調症の発症に関わるリスク変異が再現性を持って同定されている。しかし同時に,100%特定の精神障害発症につながるリスク変異はないこと,さらに特定のリスク変異と臨床表現型は1対1では対応せず,発達段階に応じて表現型が変化していくことも判明しており,今後,統合失調症を含む精神障害のゲノム情報を集約し,さらなる検証を重ねていく必要がある。一方,ゲノム変異から発症に至るメカニズムは不詳であり,同定されたリスク変異を出発点とした,統合失調症の病態解明や新規治療薬開発,向精神薬の副作用軽減を企図した研究が活発化しており,成果の臨床応用が期待されている。
今後,統合失調症臨床において,ゲノム医療に関連する知見の重要性は増すと考えられ,正しい知見を当事者・家族が医療者とともに共有する必要があるだろう。
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