神経筋接合部の基礎

Neuromuscular junction

要旨：神経筋接合部は運動ニューロンと骨格筋線維の間に形成される高度に特殊化したシナプスであり，運動ニューロンによって生成される活動電位を筋線維の活動電位へと変換する役割を担っている。加齢や疾患，そして末梢神経損傷後に，神経筋接合部は経時的に変性し，重大な運動機能障害を引き起こす。神経筋接合部の形成や恒常性維持に関わる分子機構，そして末梢神経損傷治療における後シナプス構造安定化の重要性について述べた。神経修復の術後成績を，後シナプス構造に対するadjuvant therapyにより向上できる可能性が示されてきており，頭打ちとなっていた外科的治療を補完する新しい治療方法を確立することが期待できる。