Japanese
English
展望 生理
神経筋接合部の生理
Neuromuscular transmission
佐藤 昌康
1
M. SATO
1
1熊本大学生理学
1Department of Physiology, University of Kumamoto
pp.138-143
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901509
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神経,筋線維などにおける細胞内の興奮伝導が純電気的な局部回路電流によることは,既に20数年前に解決された問題であつたが22),細胞から細胞への興奮の伝導―即ち節前神経細胞から節後神経細胞へ,又は運動神経末端から筋線維へ―に関しては,Acetylcholine(Ach)による化学伝達説が1930年代に提出されて以来,化学物質による伝達か,或は細胞内の興奮伝導と同じくprejunctionalの神経末端に到達した活動電位そのものによつてpostjunctionalの神経線維または筋線維が興奮されると考える電気伝導説かという問題は,1930年から40年代にかけての一つの大きな問題であつたようである。しかし最近数年間の実験によつて軍配は決定的に前者に上つているかにみえる。既に示されているようにprejunctionalの神経末端からAchが分泌され,これがPostjunctionalの筋線維膜(即ち端板,end-plate)のAch-受容器を刺激し,これが局部的な透過性変化をおこし膜の脱分極をおこす(端板電位,end-plate potential,e. p. p.)。そしてこのe. p. p. が筋線維に伝導性の衝撃を発生する。一方,神経線維の活動電位によつて筋線維が刺激される,或は少くとも閾下の脱分極をおこすという実験的証拠は皆無である26)。
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