特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅱ 筋電図
2.誘発筋電図の進歩と問題点
3)神経筋接合部
高守 正治
1
1長崎大学第一内科
pp.1335-1344
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911396
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神経筋接合部の構造と機能
1.神経終末
重症筋無力症の病因の場である神経書筋接合部は,運動神経が終る末端(nerve terminal)が約500Åの間隙(synaptic cleft)をはさんで筋肉側の運動終板膜(受容体)と相対し,アセチルコリン(ACh)によって神経側の刺激が筋肉側へ伝達される化学的シナプスによって構成される(図1上).図1下に模式的に示すようにして合成され,伝達にあずかるAChは,シナプス小胞(図1上のsv)に貯蔵され,2×103〜105個のACh分子からなる一つの単位ACh quantumの形で遊離され,拡散し終板膜に達して,そこに電位を発生させる.伝達関与AChもそのすべて(depot ACh)が直ちに遊離可能ではなく,図示(図1下)するような3つの区画に分けられ,第三のimmediately releasable AChのみが直接遊離準備状態下(release probability)にある.神経終末のシナプス膜に接近して存在する小胞内のAChが,機能的にはこの区画に相当すると考えられる.reserve AChからavailable AChへの運搬過程(ACh mobilization)は神経終末過分極によって行われる.
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