Japanese
English
論究
変形性関節症の関節局所における痛みのメカニズム
Mechanisms of pain in the local joint of osteoarthritis
籠田 成靖
1
,
渡邊 健一郎
2
,
田中 栄
3
Naruyasu KOMORITA
1
,
Kenichirou WATANABE
2
,
Sakae TANAKA
3
1田辺三菱製薬株式会社,育薬本部メディカルインテリジェンス部
2同上,育薬本部メディカルアフェアーズ部
3東京大学医学部,整形外科学教室
キーワード:
OA
,
Pain mechanism
,
Nociceptor
Keyword:
OA
,
Pain mechanism
,
Nociceptor
pp.1425-1433
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001466
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要旨:変形性関節症(OA)は加齢などが原因で生じる骨軟骨の変性疾患であり,痛みのために患者のQOLだけでなく,社会活動性も低下する。わが国では超高齢化に伴う患者数の増加が社会的な問題となっている一方で,疾患自体を改善させる治療薬や再生医療は未だ実用的ではなく,痛みに対する対症療法が不可欠である。OAにおける痛みの原因は様々であるが,なかでも罹患関節における炎症が重要な役割を果たすことが知られている。炎症の中心は滑膜であるが,滑膜細胞や軟骨細胞から腫瘍壊死因子(TNFα)やインターロイキン(IL-6),IL-1βなどの炎症性サイトカインや血管内皮増殖因子(VEGF)や神経成長因子(NGF),そして蛋白分解酵素が放出され,滑膜炎症の悪化や軟骨変性が誘発される。滑膜や軟骨下骨,骨膜に分布する末梢神経においては,NGFなどの作用によって終末部の侵害受容器の感受性が亢進し,神経細胞体の活性化を伴った痛覚過敏状態となることでOAの痛みが悪化すると考えられる。
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