Japanese
English
特集 ロコモティブシンドロームの現況
Ⅱ.病態・診断
1.変形性関節症と痛み
Pain associated with osteoarthritis
髙谷 将悟
1,2
,
永野 靖典
1,2
,
泉 仁
1,2
,
池内 昌彦
1,2
S. Takaya
1,2
,
Y. Nagano
1,2
,
M. Izumi
1,2
,
M. Ikeuchi
1,2
1高知大学整形外科
2高知大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Dept. of Orthop. Surg., Kochi Medical School, Kochi University, Nankoku
2Dept. of Rehabilitation Center, Kochi Medical School Hospital, Nankoku
キーワード:
knee
,
OA
,
locomotive syndrome
,
pain
Keyword:
knee
,
OA
,
locomotive syndrome
,
pain
pp.531-534
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_531
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は じ め に
65歳以上の高齢者が人口の20%以上を占める超高齢社会において健康寿命の延伸はわが国において重要な政策課題であり,ロコモティブシンドローム(ロコモ)のように運動器障害に伴う要介護,寝たきりは大きな社会的問題となっている.変形性関節症(OA)は,関節軟骨の摩耗と変性を特徴とし,関節構造体や近傍組織に生じる一連の二次的変化を包括した退行性変性疾患であり,ロコモをきたす代表的な関節疾患である.中でも変形性膝関節症(膝OA)の頻度は高く,日常生活動作(ADL),生活の質(QOL)を低下させる大きな要因となっている.炎症が病態の主体である関節リウマチ(RA)は,疾患修飾作用をもつ新薬の開発が近年大きくすすんだが,OAに関しては病態解明と新規治療に結びつく研究がすすまず,いまだ対症療法が中心である.OAの対症療法を考える際に,大多数の患者の主訴はその慢性的な痛みであることから,痛みの病態を理解して適切な治療を行うことが必要となる.本稿では,高齢者において頻度の高い膝OAに着目し,病態や痛みの発症・増悪機序,診断,治療について概説する.
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