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は じ め に
手指の変形性関節症(osteoarthritis:OA)はさまざまな関節に生じるが遠位指節骨間(distal interphalangeal:DIP)関節,近位指節骨間(proximal interphalangeal:PIP)関節,手根中手骨間(carpometacarpal:CM)関節が主である.酷使することにより生じるといわれているDIP関節OAは頻度がもっとも高く,CM関節が次に多い1).PIP関節と母指中手指節骨間(metacarpophalangeal:MCP)関節も一次性OAの発症しやすい関節である.その他の手の関節に発生するOAは二次性OAが多い.代表的なものが外傷後に発生する手根骨間関節OA,代謝疾患に伴う示指,中指MCP関節症,ピロリン酸カルシウム沈着による手関節などである2).手部の変形性関節症は疼痛,可動域制限,変形のため日常生活に多大な影響を及ぼす.
Heberden結節はDIP関節に,Bouchard結節はPIP関節にみられる結節である.Heberden結節,Bouchard結節と変形性関節症は同義語と認識されていることもあるが,結節は変形性関節症のサロゲートマーカーと考えられている.実際,これらの存在は手指OAの発生が20%増加するといわれ,さらに家族歴や関節裂隙の狭小が存在すれば発生は88%に増加すると報告されている3).Heberden結節とBouchard結節は骨棘との増大したものと考えられていた4,5).病理学的には関節包付着部の軟骨の過形成と考えられ軟骨棘ともいわれ,ほかの関節と異なり,腱や靱帯の付着部を避けて抵抗の少ない部位で成長するのが特徴である4).Heberden結節の場合は終索と側副靱帯の間に,PIP関節では中央索と側索の間と側索の掌側に発生する.背側中央に生じるものは伸筋腱による牽引により生じるtraction spurで側方に生じるものは軟骨棘と考えられている.
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