手の変形性関節症の病型分類 -―びらん性関節症―

Classification of hand osteoarthritis；erosive osteoarthritis

要旨：手の変形性関節症の病型分類として，びらん性関節症（erosive osteoarthritis；EOA）の概念が存在する。Heberden結節，Bouchard結節，母指CM関節症のX線学的調査を行い，18.9％にEOAを認めた。EOAは圧倒的に女性に多く，non-EOAと比較し臨床症状が強く，血液生化学的検査ではESR1hが有意に高かった。EOAについて米国では自己免疫に関する研究や生物学的製剤の治験が行われている。今後基礎研究とともに大規模な臨床研究が不可欠であり，そのためにも明確な診断基準を作成し議論していく必要がある。EOAの診断基準に必要な項目として，① 臨床症状（疼痛，発赤，熱感，腫脹，こわばりなど），② erosive変化をきたす他の疾患との鑑別（RA，乾癬性関節炎，シェーグレン症候群，甲状腺疾患，結晶性関節炎など），③ 画像所見，④ 対象とする関節と関節数を明確にしていくことが重要と考えている。