特集 内分泌疾患に伴う運動器障害
糖尿病の運動器障害
金沢 一平
1
1島根大学医学部,内科学講座内科学第一
キーワード:
Neuropathy
,
Sarcopenia
,
Osteoporosis
Keyword:
Neuropathy
,
Sarcopenia
,
Osteoporosis
pp.1585-1592
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000239
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要旨:糖尿病患者の高齢化に伴い神経障害やサルコペニア(筋肉減少症),骨粗鬆症などの運動器に関わる合併症の重要性が増してきた。神経障害はしびれや疼痛などの陽性症状のみならず,感覚異常や運動神経障害によるバランス異常や筋萎縮なども運動能力低下に影響する。サルコペニアは筋肉へのインスリン作用不足(分泌低下,インスリン抵抗性)などの内分泌環境の変化に加えて,栄養・運動不足やビタミンD欠乏による蛋白合成の低下,炎症性サイトカイン,グルカゴンによる蛋白分解亢進も重要な病態である。糖尿病に関連する骨粗鬆症では骨質劣化が重要な病態であり,骨密度測定が過小評価につながる可能性を念頭に置く必要がある。いずれの合併症も共通の因子や相互関連性が存在すると考えられるため,糖尿病における運動器障害を予防,治療するためには血糖管理に加えて各疾患に対する積極的なアプローチが重要と考えられる。
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