特集 内分泌疾患に伴う運動器障害
副甲状腺機能低下症の骨格系障害
福本 誠二
1
1徳島大学先端酵素学研究所,藤井節郎記念医科学センター
キーワード:
Parathyroid hormone
,
Hypoparathyroidism
,
Pseudohypoparathyroidism
Keyword:
Parathyroid hormone
,
Hypoparathyroidism
,
Pseudohypoparathyroidism
pp.1579-1584
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000238
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要旨:副甲状腺機能低下症は,副甲状腺ホルモン作用障害を特徴とする疾患である。本症患者では,低カルシウム血症などの血中ミネラル濃度の異常に加え,骨代謝回転の低下,骨密度の増加が知られている。一方近年の検討では,本症患者では椎体骨折が対照群に比較し,むしろ多いと報告されている。これらの結果は,本症患者では骨密度に反映されない骨脆弱性を惹起する要因が存在する可能性を示している。海外では,本症に対し副甲状腺ホルモン製剤の使用が可能となった。副甲状腺ホルモン製剤による治療は,本症患者の骨代謝回転を亢進させ,骨梁幅の減少,骨梁数の増加などをもたらす。ただし,副甲状腺ホルモン製剤の骨密度に対する効果については,見解が分かれている。さらに副甲状腺ホルモン製剤が,本症患者の骨折に影響するかどうかも不明である。今後副甲状腺ホルモン製剤使用患者の増加により,これらの問題に対する新たな知見がもたらされることが期待される。
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