特集 ステロイド関連大腿骨頭壊死症の予防と新しい治療
ランソプラゾールによる骨壊死の予防と治療の可能性
岡﨑 俊一郎
1
,
名越 智
2
1北海道大野記念病院,整形外科
2札幌医科大学,生体工学・運動器治療開発講座
キーワード:
Lansoprazole
,
Prevention
,
Osteonecrosis
Keyword:
Lansoprazole
,
Prevention
,
Osteonecrosis
pp.1379-1384
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000179
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われわれは自然免疫機構を介した炎症系が特発性大腿骨頭壊死症の発生機序に関与しているとの仮説を立て,独自の動物モデルの作製,発生機序解明ならびに予防法確立に関する基礎研究を実施してきた。それらの結果から,プロトンポンプ阻害剤であるランソプラゾールに大腿骨頭壊死の発生予防効果があることを確認した。それに引き続き,実施した臨床研究では,症例数が少ないなどの限界はあるものの,ランソプラゾールは特発性大腿骨頭壊死症の発生を有意に予防していることが判明した。さらに,大腿骨頭壊死が発生した患者の多くで経過観察中に骨壊死領域の縮小を認めている。これらのことからランソプラゾールには骨壊死の予防効果だけでなく治療効果を有する可能性が示唆され,さらなる臨床研究の継続が望まれる。
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