特集 ステロイド関連大腿骨頭壊死症の予防と新しい治療
スタチンとワルファリンによる骨壊死予防の試み
多田 芳史
1
,
長澤 浩平
2
1佐賀大学膠原病・リウマチ内科
2早良病院膠原病リウマチセンター
キーワード:
Osteonecrosis
,
Systemic lupus erythematosus
,
Prevention
Keyword:
Osteonecrosis
,
Systemic lupus erythematosus
,
Prevention
pp.1363-1368
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000176
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
大腿骨頭壊死症(ONF)は特に全身性エリテマトーデス(SLE)において高頻度に発生する合併症で,ステロイド剤による治療開始後早期に発生する。以前よりわれわれはSLE患者におけるONF の研究を行ってきたが,SLE 初回治療時のONF 発生の予防効果を検討するため抗凝固薬ワルファリンと高コレステロール血症治療薬であるスタチンの併用による多施設共同研究を行った。投与症例は35 例で,そのうち8例(23%)でONFの発生が認められ,発症に至ったのは3 例(8.6%)であった。これは以前の研究における無治療コントロール群のONF発生率(34%)および発症率(14%)に比べやや低い傾向であった。問題点として腎生検などを行った例ではワルファリン開始が遅れること,治療早期に生じる種々の合併症や検査異常で予防薬の継続率が高くないことが挙げられた。有効なONF の予防法が存在しない現在,両薬剤の併用は本症の抑制に有用である可能性があると考えている。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.