特集 ステロイド関連大腿骨頭壊死症の予防と新しい治療
特発性大腿骨頭壊死症の疫学 ステロイド関連を中心に
福島 若葉
1
1大阪市立大学大学院医学研究科,公衆衛生学
キーワード:
Osteonecrosis
,
Femoral head
,
Epidemiology
Keyword:
Osteonecrosis
,
Femoral head
,
Epidemiology
pp.1355-1362
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000175
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特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)の疫学について,厚生労働省等の助成による「ONFH調査研究班」の成果から,主要リスク因子であるステロイド投与の知見を中心に概説した。直近の全国疫学調査(2015年実施)によると,ONFH 症例の約半数にステロイド全身投与歴を認め,投与対象疾患は全身性エリテマトーデス(SLE)が最も多かった。研究班の班員所属施設を定点とするモニタリングシステムではステロイド投与対象疾患の経年変化を評価しており,1997〜2011年の15 年間でSLEと腎移植は減少し,肺疾患と皮膚疾患が増加している。ステロイド非投与と比較して,投与によりONFH リスクは約20 倍上昇すると報告されている。SLE 患者や腎移植患者など,ONFH のハイリスク者を対象にステロイド投与量とONFH リスクを検討した研究が複数あるものの,長期にわたって投与量を把握することの困難性などにより,一貫した知見は得られていない。
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