発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011103828
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
72歳女。バスを降りた際に左膝痛が出現し、近位での治療で改善せず10日後に紹介受診した。左膝内側大腿脛骨関節裂隙に限局した圧痛を認め、X線では左膝内側関節裂隙の狭小化と骨棘形成を認める以外に異常所見はなく、MRIでは左脛骨近位の骨端から骨幹端に及ぶ部位を取り囲むように地図状に蛇行した信号変化を認め、T1強調像で低信号、T2強調像で外側低信号と内側高信号の二重線を呈した。脛骨内側の関節近傍にはT1強調像で低信号、T2強調像で高信号の領域を認めた。骨シンチグラムでは、骨幹端部よりも左脛骨内側骨端部の集積が著明であった。疼痛は脛骨内側顆骨端部の阻血性壊死によるもので、骨幹端部は臨床症状に関連しない骨梗塞と診断し、松葉杖による免荷歩行、非ステロイド性抗炎症薬内服、支柱付きサポーター装着を行った。1ヵ月後のX線で脛骨内側顆に骨透亮像と周囲の硬化像を認め、2ヵ月後には骨透亮像が拡大したが、脛骨内側に仮骨形成がみられたため荷重開始とした。6ヵ月後には骨透亮像は改善し、病変部の硬化像を認めた。10ヵ月経過して疼痛は消失し、自営業務にも影響はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011