創刊60年記念特集 肩関節外科の進歩
骨性Bankart 病変に対する鏡視下修復術
中川 滋人
1
1行岡病院,スポーツ整形外科
キーワード:
Traumatic anterior shoulder instability
,
Bony Bankart lesion
,
Arthroscopic bony Bankart repair
Keyword:
Traumatic anterior shoulder instability
,
Bony Bankart lesion
,
Arthroscopic bony Bankart repair
pp.1279-1287
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000152
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外傷性肩関節前方不安定症において,関節窩骨折に伴って発生すると考えられる骨片が付着したBankart病変は骨性Bankart病変と呼ばれるが,われわれはこれを切除することなく,鏡視下に修復術を行ってきた。腱板疎部縫合やremplissage などといった追加補強処置を行うことなく,単独で鏡視下骨性Bankart修復術を施行してきたが,術後の骨癒合率は約60%と決して高率とはいえず,また,完全な骨癒合には術後7 カ月以上を要する症例が多かった。特に小さな骨片の場合,骨癒合率はさらに低下し,骨吸収が疑われる症例もみられ,再発率も有意に高かったが,骨癒合した場合,再発率は有意に低下した。一方,術前の関節窩骨欠損の大きさは,骨癒合率や再発率に影響しなかったが,やはり骨癒合例で再発率が有意に低かった。関節窩骨欠損があっても遺残した骨性Bankart病変の骨片が癒合すれば,高頻度に骨片周囲にremodelingを生じ,骨片が大きくなったため,関節窩骨欠損は術後有意に小さくなっていた。今後成績向上のためには,骨癒合率を高める工夫が必要である。
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