論究
橈骨遠位端骨折変形癒合に対する掌側進入のみによる楔開き矯正骨切り術
森谷 浩治
1
,
原 敬
1
,
上村 一成
1
,
依田 拓也
1
1(財)新潟手の外科研究所
キーワード:
Distal radius fracture
,
Malunion, Open wedge corrective osteotomy
Keyword:
Distal radius fracture
,
Malunion, Open wedge corrective osteotomy
pp.1131-1136
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000117
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橈骨遠位端骨折変形癒合例は新鮮例と異なり,掌側進入のみの展開では整復位の獲得や移植骨の挿入に難渋することが少なくない。そのため筆者らは癒合部を骨切りした後,骨保持用鉗子で橈骨近位骨片を把持して回内させ,掌側から肥厚した背側瘢痕組織の切除ならびに移植骨の挿入を行っている。2012年7 月から本操作を併用した掌側進入による楔開き矯正骨切り術を施行した橈骨遠位端骨折変形癒合10 例の術後矯正位損失は,平均で尺側傾斜1.7°,掌側傾斜1.3°,ulnar variance 0.8 mmであった。楔開き骨切り術では変形癒合部背側に存在する瘢痕組織が障害因子となり,矯正位の獲得や移植骨の挿入に苦労する。骨保持用鉗子で橈骨近位骨片を操作すれば,掌側からでも背側の瘢痕組織の切除が行え,矯正位獲得や移植骨の挿入も比較的容易に施行できると考える。
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