臨床
観血的治療を行った母指中手指節関節側副靱帯断裂例における受傷機転の検討
上村 一成
1
,
森谷 浩治
1
,
牧 裕
1
,
坪川 直人
1
,
成澤 弘子
1
,
吉津 孝衛
1
1一般財団法人新潟手の外科研究所
キーワード:
Thumb, Metacarpophalangeal joint
,
Collateral ligament
Keyword:
Thumb, Metacarpophalangeal joint
,
Collateral ligament
pp.939-942
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000064
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
母指の中手指節(MP)関節における側副靱帯の断裂部位は橈側側副靱帯(RCL)が近位,尺側側副靱帯(UCL)は遠位の場合が多い。当院で手術加療を行った17 例17 指の母指MP関節側副靱帯断裂の断裂部位はRCL が近位6 例,遠位1例,実質部なし,UCL が近位1例,遠位9例,実質部なしであった。統計学的検討でRCL は近位,UCL は遠位で有意に断裂していた。母指MP 関節側副靱帯断裂に関するStener の生体力学的検討を参考にすれば,RCL およびUCL の近位部断裂では受傷時にMP 関節は少なくとも伸展位になっており,遠位部断裂では受傷時に屈曲位である可能性が大きい。このMP 関節の伸展・屈曲肢位とMP関節に加わる強制外力の方向(橈屈または尺屈)によって,受傷側ならびに断裂部位はある程度推測可能であるが,RCL 遠位部断裂の受傷機転に関してはさらなる検討が必要と考える。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.