発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012339632
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症例1は24歳男で、金属加工用グラインダーに布が巻き込まれた際、左手を捻じって受傷した。初診時、左母指IP関節に圧痛を認めた。単純X線像で末節骨近位橈側に裂離骨片を認め、ストレス撮影で橈屈時に30度の不安定性を認め、尺側側副靱帯損傷と診断した。術中、尺側側副靱帯の基節骨付着部での断裂を認めたため、アンカーを用いて縫合した。修復直後の尺屈時の偏位は15度であった。末節骨付着部より裂離していた橈側靱帯も同様に縫合し、IP関節はKirschner鋼線を使用して伸展0度で仮固定した。術後3ヵ月でIP関節のROMは伸展-5度、屈曲35度で、ピンチ力は健側5.5kgに対し3.5kgで、患肢使用時にIP関節不安定性を認めなかった。症例2は42歳男で、ボーリング機械に左母指を巻き込まれ受傷した。初診時、左母指IP関節に圧痛を認め、ストレス撮影で橈屈時に25度、尺屈時に45度の不安定性を認め、両側側副靱帯損傷と診断した。術中、橈側側副靱帯が基節骨付着部で断裂し、尺側側副靱帯が実質部で断裂しているのを認めたため、橈側はアンカーを用いて縫合し、尺側はループ針を用いて縫合した。IP関節はKirschner鋼線を使用して伸展0度で仮固定した。術後5ヵ月でIP関節ROMは伸展12度、屈曲60度で、ピンチ力は健側4.1kgに対し3.8kgで、患肢使用時にIP関節不安定性は認めなかった。
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