発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288568
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
24歳男。作業中プレス機に右手指を挟まれ、中指切断を含めた治療を受け、治療後10ヵ月に当科紹介となった。中指は中節部以遠で欠損し、近位指節間(PIP)関節屈曲拘縮を伴っており、X線で示指は基節骨底部が粉砕され、中手指節(MP)の関節は掌側に脱臼し、中指のMP関節は中手骨頭が完全に破壊されていた。右手の機能改善を目的に、血管柄付き半関節移植術を施行した。神経血管束との連続性を絶たないよう、示指の中手骨頭と基節骨中央部以遠を一塊にして挙上し、中手骨頭と基節骨中央部以遠を切除した中指列へ移植した。移植に際し、障害となる中指の橈側神経血管束は切離したが、温存した中指基節骨底部と尺側神経血管束の連続性は維持した。術後8ヵ月で新しく再建した中指MP関節の可動域は良好で、術後27年の現在までに基節骨底部と中手骨頭の骨棘形成や関節裂隙の狭小化の進行を認めているが、再建したMP関節の可動域は比較的温存されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2011