特集 ロボット支援膵切除術をマスターする
ロボット支援膵切除術における術野展開のコツ
大庭 篤志
1
,
井上 陽介
1
,
加藤 智敬
1
,
小林 光助
1
,
小野 嘉大
1
,
髙橋 祐
1
1がん研究会 有明病院肝胆膵外科
キーワード:
ロボット支援膵切除
,
術野展開
,
ポート
Keyword:
ロボット支援膵切除
,
術野展開
,
ポート
pp.1485-1494
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004623
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わが国におけるロボット支援膵切除術は,2020年に保険適用が認められたのち,急速に普及している。従来の腹腔鏡下膵切除術での経験がその普及を支えていることは疑いの余地がないが,ロボット支援膵切除術の特性である術中視野の確保や術野展開を理解することで,そのメリットを最大限に活用することが可能である。とくに,ロボット支援手術におけるワーキングアームの数とカメラの違いが重要な要素となる。腹腔鏡下膵切除術では,術者と第一助手が計4本の鉗子を操作するが,ロボット支援手術では3本のワーキングアームしか使用できないため,新たな展開方法を考慮する必要がある。また,ロボットのカメラは硬性鏡であり,視野角の制限があるため,視野確保と臓器展開を戦略的に構築しなければ,不十分な展開状態で剥離操作を行わざるを得なくなり,blind操作や解剖学的誤認の原因となる。ロボット支援膵切除術の利点である安定した拡大視野や精密な多関節機能を駆使した剥離操作を実現するためには,適切な術野展開法とポートセッティングが不可欠である。

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