手術手技
上部進行胃癌に対する安全確実な脾門郭清を行うための脾門アプローチの定型化
黒田 新士
1
,
垣内 慶彦
1
,
賀島 肇
1
,
菊地 覚次
1
,
香川 俊輔
1
,
藤原 俊義
1
1岡山大学学術研究院医歯薬学域消化器外科学
キーワード:
脾門郭清
,
定型化
,
上部胃癌
Keyword:
脾門郭清
,
定型化
,
上部胃癌
pp.1939-1945
発行日 2024年11月15日
Published Date 2024/11/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004160
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大彎に浸潤を認めない上部進行胃癌に対する脾摘を伴う脾門郭清の意義は,日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)において行われた臨床試験(JCOG0110)により否定されている1)。一方で,大彎に浸潤を認める病変に対する脾門郭清の効果は,大彎に浸潤を認めない病変と比較して高いとの報告が多く2),胃癌治療ガイドライン第6版(2021年7月改訂)において,そのような病変に対しては“脾摘や脾門郭清を行うことを弱く推奨する(エビデンスの強さC)”となっている3)。また,脾摘後の合併症として膵液瘻の発生頻度は高く,すだれ郭清による脾温存脾門郭清などの手技が開発されたものの,その発生頻度は同程度であり,膵脾脱転操作自体が膵液瘻発生のリスクであると考えられている。そのような状況のなかで,内視鏡手術やロボット支援手術の発展に伴い,前面のみではあるものの膵脾脱転操作を行わずに郭清を行う脾温存脾門郭清手技が開発され2),現在,その安全性を検証する臨床試験(JCOG1809)が進行中である4)。
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