特集 イラストで見る消化器癌手術アトラス
Ⅱ 食道・胃 9 上部進行胃癌に対する脾門部リンパ節郭清
木下 敬弘
1
,
永田 博美
1
,
小松 優
1
1国立がん研究センター東病院胃外科
キーワード:
胃癌
,
脾門部リンパ節郭清
,
腹腔鏡手術
Keyword:
胃癌
,
脾門部リンパ節郭清
,
腹腔鏡手術
pp.781-786
発行日 2023年5月31日
Published Date 2023/5/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003330
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胃癌治療ガイドライン第6版では,大彎に浸潤しない上部進行胃癌では,予防的な脾摘あるいは意図的な脾門部リンパ節郭清は行わないことが強く推奨されている。一方,大彎に浸潤する上部進行胃癌においては,脾摘あるいは脾門部リンパ節郭清を行うことが弱く推奨されている1)。これは過去の後ろ向き研究で,このような対象における脾門部リンパ節転移頻度が約15%であること,さらに生存率を掛け合わせた郭清効果指数も比較的高いことが報告されているからである2)。予防的郭清においては,内視鏡下の拡大視効果を利用し,膵臓に分布する脾動静脈を温存しながら脾門部のリンパ節(No.10)と遠位脾動脈に沿ったリンパ節(No.11d)を切除する「脾温存脾門郭清」が,低侵襲性・機能温存と根治性を両立した,今後の標準治療として期待されている3)。現在,多施設共同臨床試験(JCOG1809)で同術式の安全性・妥当性が検証中である2)。
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